地籍調査の必要性
人に「戸籍」があるように,土地には「地籍」があります。
しかし,地籍調査が未実施の地域において現在広く利用されているいわゆる 公図は,明治時代の地租改正によって作成された地図(字限図)をもとにしたものがほとんどで,境界や形状などが現実とは異なっている場合が多くあり,土地の面積も正確ではない場合があるのが実態です。そのため,土地取引などのトラブルの原因になり,都市再生,災害復旧,公共用地の適正管理に支障をきたしています。
地籍調査により作成した現状に合致した「地籍図」や「地籍簿」は,法務局の「法14条地図」,「登記簿」に反映され,個人や行政の財産の確定・保全はもちろん,公共事業の効率化や土地取引の円滑化など様々な分野で有効活用できます。
地籍調査の効果
1 公共事業の円滑化
2 住民間や官民間の土地にかかるトラブルの防止
3 災害時の現地復旧の円滑化
4 課税の適正化,公平化
5 市町村の開発計画の効率化
6 GISによる幅広い活用
地籍調査の作業分類
A工程 地籍調査事業計画,事務手続き
B工程 地籍調査事業準備
C工程 地籍図根三角測量
D工程 地籍図根多角測量
E工程 一筆地調査
F工程 地籍細部測量
G工程 地積測定
H工程 地籍図および地籍簿の作成
H工程以降
閲覧,認証,成果を登記所へ送付,「法14条地図」として備付,「登記簿」の修正
一筆地調査の重要性
一筆地調査は,土地の状況を明らかにするために毎筆の土地について,その所有者,土地の所在,地番,地目を現地において調査し,筆界の確認作業を行うものです。
この調査結果に基づき地籍細部測量が実施され,最終的に地籍図及び地籍簿の作成,そして「法14条地図」の備付,「登記簿」の修正が行われることから一筆地調査は,地籍調査の母体ということができます。
筆界の確認
一般的には「境界」という言葉を使っていますが,土地の「境界」は大きく分けると「公法上の境界」と「私法上の境界」があります。「公法上の境界」には「筆界」や「行政界」が,「私法上の境界」には「所有権界」や「占有界」等があります。
筆界の確認は,「公法上の境界」を確認することです。筆界は,不動産登記の手続きにより決定された一筆の土地の範囲を示す界のことであり,最初に地番が付されたとき(原始的筆界)や分筆,合筆されたときに固定(後発的筆界)され,土地所有者間の合意等で決めたり変えたりすることはできません。また,土地の一部に時効取得が生じても筆界は何ら変わることはありません。そのため,地図に表示されている筆界を変えることは原則認めらません。
立会時には,これらの「境界」が何なのか明確に区別する能力が必要になります。所有者の主張に偏りすぎると,所有権界,占有界を筆界と誤ってしまう可能性があります。現実に「筆界」確認の誤りから何年も後になって地籍図の修正をしなければならなくなるケースは後を絶ちません。その度ごとに関係者の負担や,市町村の経費の二重支出が必要になってきています。
ご提案
当協会は下記のとおり,「登記所備付地図作成作業」を受託しており高い評価をいただいています(「法14条地図」作成業務)。
地籍調査は単なる「資料作成」にとどまるものではなく,事実上「境界(筆界)の確定」をするものですから,「一筆地調査」においては「境界(筆界)確認のプロ」である「土地家屋調査士」の集合体である「当協会」の活用をご検討ください。
近年の法14条地図作成実績
平成17年 広島市南区皆実町五丁目 0.082k㎡ 720筆
平成18年 広島市南区皆実町一丁目ほか 0.17k㎡ 1,263筆
平成19年 広島市東区牛田新町 0.18k㎡ 700筆
平成20年 広島市西区己斐西 0.20k㎡ 800筆
平成22年 広島市安佐南区上安二丁目 0.48k㎡ 2,830筆
平成23年 広島市東区山根・尾長 0.25k㎡ 950筆
平成25年 安芸郡府中町柳ヶ丘 0.35k㎡ 1,400筆
平成26年 大竹市南栄地区ほか 0.37k㎡ 1,400筆
平成27年 大竹市新町・本町地区 0.37k㎡ 1,900筆
平成28年 広島市東区曙地区 0.33k㎡ 1,930筆
平成29年 広島市東区戸坂・牛田地区 0.33k㎡ 1,520筆
平成29年 広島市南区大州地区 0.34k㎡ 560筆
平成30年 広島市南区堀越地区 0.21k㎡ 1,530筆
平成30年 広島市南区大州地区 0.22k㎡ 640筆
令和元年 広島市南区青崎地区 0.21k㎡ 1,290筆
令和元年 広島市南区大州地区 0.32k㎡ 1,030筆
令和2年 広島市南区向洋地区 0.26k㎡ 1,660筆
令和2年 広島市南区西蟹屋地区 0.23k㎡ 1,250筆