Q3.官公署の職員が測量業者の測量成果に基づき,その結果を「調査点検」し,地積測量図の作成者として記名押印することに問題があるのですか?

まず,官公署の職員が,自ら不動産の表示に関する登記の嘱託に必要な土地の調査及び測量を行い,地積測量図を作成した場合には,当該職員が地積測量図の作成者として署名又は記名押印することはなんら差し支えありません。

次に,浦和地方法務局では,業者の測量成果に基づき,その結果を「調査点検」をした揚合に,官公署の職員が作成者となることを認めています。これは,他人の測量成果に基づく場合について「調査点検」という条件を付けて,自ら作成者となり得るケースを認めた事例です。(注3)

この場合,作成者である官公署の職員は,地積測量図に特定した筆界の妥当性と測量成果の正確性,そしてそれに基づく当該登記申請の真正について自ら合理的に説明でき,求められれば自らきちんと説明しなければならない責任があります。

地積測量図の作成者欄への記名押印は,当該登記申請の真正を担保するものですから,官公署の職員であれば,誰でもよいという訳にはいきません。少なくとも国家資格者である土地家屋調査士と同等の能力を有する「専門職員」である必要があります。

官公署の職員が土地家屋調査士と同等の能力を有する「専門職員」であるかどうかは,国家試験で選抜された土地家屋調査士と異なり,社会的評価を得ている訳ではないので,登記官の現地調査により適正さが確認される以外に方法はなく,作成者である職員は,登記官の現地調査に同行して,不動産登記法に適合する適正な申請であることを合理的に説明しなければなりません。

現地調査において合理的な説明ができないと,作成者として実際に調査測量を行ったのかどうか疑われることになり,作成者として不適切であれば,実際の作成者に補正を命じられ,補正に応じなければ,取下げを命じられるか却下されることになります。

また,地積測量図は登記所において永久に保存されますので,何年後かに,地積測量図に職疵が発見された場合,退官後であっても,作成者である職員は,その対応,処理に追われることになります。

注3 平成5年5月7日付け,埼玉県土木部長宛浦和地方法務局首席登記官回答

土地建物実地調査要領について(回答),質問項目2.地積測量図作製者の調査について「本件職員が指導監督を行い,業者に調査測量を行わせ,その結果を調査点検し,相違ないと認めた場合については,本件職員が地積測量図の作製者となると考えてよろしいか。」  差し支えない