Q7.測量は測量業者に発注しているが,問題があるのですか?
現在,官公署等が発注されている用地測量の多くは,その成果に基づいて地積測量図が作成され,測量の目的が登記を前提にしたものが多数見受けられます。
用地測量委託業務の大半は,土地の分筆登記等に関する不動産の調査及び測量であり,土地家屋調査士法第3条(注5)に定められた「土地家屋調査士業務」となり,土地家屋調査士法違反になります。(注6)
なお,官公署が,不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査・測量を,測量業者に発注することは,違法行為を強要することになり地方自治法第2条第16項(法令違反の事務処理禁止の規定)に抵触します。(注7)
注5 土地家屋調査士法(抜粋)
第2条 土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は,常に品位を保持し,業務に関する法令及び実務に精通して,公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。 第3条 調査士は,他人の依頼を受けて,次に掲げる事務を行うことを業とする。
第24条 調査士は,その所属する調査士会及び調査士会連合会の会則を守らなければならない。 第68条 調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者(協会を除く。)は,第3条第1項第1号から第5号までに掲げる事務(同項第2号及び第3号に掲げる事務にあっては,同項第1号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る。)又はこれらの事務に関する同項第6号に掲げる事務を行うことを業とすることができない。ただし,弁護士若しくは弁護士法人が同項第2号から第5号までに掲げる事務(同項第2号及び第3号に掲げる事務にあっては,同項第1号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関する審査請求の手続に関するものに限る。)若しくはこれらの事務に関する同項第6号に掲げる事務を行う場合又は司法書士法第3条第2項に規定する司法書士若しくは同項に規定する簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人が第3条第1項第4号若しくは第5号に掲げる事務(同法第3条第1項第8号に規定する筆界特定の手続に係るものに限る。)若しくはこれらの事務に関する第3条第1項第6号に掲げる事務を行う場合は,この限りでない。 2 協会は,その業務の範囲を超えて,第64条第1項に規定する事務を行うことを業とすることができない。 3 調査士でない者は,土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。 4 調査士法人でない者は,土地家屋調査士法人又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。 5 協会でない者は,公共嘱託登記土地家屋調査士協会又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。 第73条 第68条第1項の規定に違反した者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。 2 協会が第68条第2項の規定に違反したときは,その違反行為をした協会の理事又は職員は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。 広島県土地家屋調査士会会則(抜粋) 第89条 会員は,他人に自己の名義を貸与する等の外,調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者に,調査士の業務を取り扱わせるよう協力し,又は援助してはならない。 |
注6 昭和57年9月27日,民三第6010号民事局長回答
土地家屋調査士法第19条(現行第68条第1項)該当事項測量士が業として他人(官公署,個人を問わない)の依頼を受けて,不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査・測量をすること及び地積測量図等を作製することは,土地家屋調査士法第19条(現行第68条第1項)本文の規定に抵触する。 |
注7 地方自治法第2条第16項(抜枠)
地方公共団体は,法令に違反してその事務を処理してはならない。なお,市町村及び特別区は,当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。 |
特別法優先の原則
ある事項について,広く一般的に規定している法と,その内にある特定の人,物,地域,場所,期間等について,その一般的規定とは違った内容の定めをしている法がある場合に,前者を「一般法」,後者を「特別法」といいます。 |